もぐてっく

人は1つ歳をとるたび、1ビットづつ大きくなれると信じてた。

Ubuntu19.10にResourceSpace 9.1をインストールしようとしてハマった話

大量の写真をタグ付けして管理できるResourceSpaceってWebアプリがすごくよさそうだったので、lxdでUbuntu19.10を立ち上げてインストールすることにしました。

https://www.resourcespace.com/

しかしながら公式サイトに載ってる手順ではインストールが出来ず、試行錯誤の末なんとかインストールにこぎつけました。しんどかった。

この苦労、数か月後には絶対忘れてる自身があるので備忘録がてら差分を書いておこうと思います。

基本的には

公式サイトのインストール手順の「Ubuntu 18.04 and above(Ubuntu 18.04以降)」の要領で進めます。
恐らく18.04から何らか事情が変わったんだろうなぁ。

https://www.resourcespace.com/knowledge-base/systemadmin/install_ubuntu

ImageMagickのインストール

これがないと、ResourceSpaceのインストールは成功するものの、画像一覧にサムネイルが出ません。意味ないね。

apt-get install imagemagick

Apache2のドキュメントルートの変更

インストール手順では/var/www/resourcespaceにResourceSpaceを展開することになっていますが、Apache2のドキュメントルートは/var/www/htmlなので、このままではブラウザでアクセスすることができません。

/etc/apache2/sites-enabled/000-default.confのDocumentRootを/var/wwwに書き換える必要がありました。

MySQLに一般ユーザを作る

インストール手順はMySQLにrootユーザでアクセスすることを想定しているようですが、なんかうまくいきませんでした。
専用のユーザー"resourcespace"を作ることでなんとかなりました。

MySQLに接続する

mysql -u root

ユーザーを作成する

CREATE USER resourcespace@localhost IDENTIFIED WITH MYSQL_NATIVE_PASSWORD BY 'resourcespace';

MYSQL_NATIVE_PASSWORDを指定するのがキモです。
Ubuntu 19.10でインストールされるMySQL8ではデフォルトのパスワード認証方式が従来のMYSQL_NATIVE_PASSWORDからCACHEING_SHA2_PASSWORDに変更されています。
しかしながらResourceSpace側のMySQLにアクセスするPHPライブラリはそれをサポートしていないので、従来のMYSQL_NATIVE_PASSWORDを使って認証を行うようにMySQLに指示する必要があります。

権限を付与する

生まれたてのユーザーに自分の立場を分からせてやります。

GRANT ALL PRIVILEGES ON resourcespace.* TO 'resourcespace'@'localhost';

セットアップ画面のMySQLのユーザー名とパスワードに"resourcespace"と入力する

これで、ResourceSpaceがインストールできるはずです。

写真管理Webアプリ Lycheeのプラグインを書こうとした話

盆休みに溜まりに溜まったデジカメ画像を整理するソリューションを探したところ、Lycheeって言う良い感じのWebアプリを見つけました。

f:id:moguno:20190817160221p:plain:w500

  • 画像を複数選択してタグを打てる。
  • 画像の他に動画も管理できる。
  • サーバが低スペックでもサクサク動く。(Celeron J1900 1コア + メモリ1GB)

非常にいい感じ。

後は、既にアップロードしている画像を再アップロードしたときに重複を検知して除外してくれればなぁ・・・。

おっと。プラグイン機能があるじゃないですか。じゃあ書くか。

と、1日頑張ったのですが、色々調べてみると重複画像排除オプションが既に実装されていました。。。

f:id:moguno:20190817155926p:plain:w500

そんなこんなでプラグイン作成のモチベーションが急激に下がった今日この頃なのですが、せっかくなので得られた知見を書き残しておこうと思います。

Lychee本体のクラスを使うには

"\Lychee\Modules\使いたいクラス"をuseします。

use \Lychee\Modules\Log;
use \Lychee\Modules\Database;

PHPって15年ぶりくらいに書いたんですが、\を演算子(?)に使う言語って珍しいですね。

ログを出力するには

Logクラスの各種メソッドが使えます。

Log::error(Database::get(), __METHOD__, __LINE__, 'エラー');

ログはLycheeの[Show Logs]から確認できます。

f:id:moguno:20190817153450p:plain:w500

ちなみにログデータはファイルではなく、DBのlychee_logテーブルに格納されています。

プラグインは登録が必要

[Settings]を選択して設定一覧の最下部にある[More]を選択。

f:id:moguno:20190817153529p:plain:w500

Full Settings画面が出てくるので、[plugins]に名前空間\クラス名を記載します。

f:id:moguno:20190817153639p:plain:w500

セミコロン区切りで複数のプラグインを記載できます。

プラグインディレクトリ名・ファイル名と名前空間・クラス名は同名にする。

プラグインのパスがExamplePlugin/Example.phpの場合、名前空間はExamplePlugin。ファイル名はExample.phpとしないといけません。

namespase ExamplePlugin;

class Example implements SplObserver {
}

まとめ

そのうちEXIFの撮影日時をみて勝手にアルバム分けしてくれるプラグインを作りたいですね。

mikutterコードリーディングの手引き

この度、久々にOSC京都に行けることになりました!わっほーい!

しかしながらこの2年ほど、まったくOSSな活動をせずにダジャレを量産するおっさんと化していたワタクシ。

このままだとアトリウムに着いた瞬間にておくれ達に拉致られて、京都湾(?)に沈められる!

と言う強迫観念に苛まれて夜しか寝れない体になってしまったので、
これまでのノウハウを生かしてmikutterのコードを読むときに知っといた方がいいことを纏めることにしました。

一人でもmikutterに興味を持ってソースをいじり始める人が増えますように。

前提

  • ここに書かれた内容は、8/1時点のHEADのソースコードを元にしています。バージョンでいうと3.9.2 + αです。
  • プラグインを作りたい方は、まずは"Writting mikutter plugin"を読むのが良いと思います。

reference.mikutter.hachune.net

ソースコードの入手

公式サイトからgitコマンドで取得できます。
GitHubにあるmikutterリポジトリは有志がメンテしているもので、バージョンが古い可能性があります。

git clone git://mikutter.hachune.net/mikutter.git 

mikutterのディレクトリ構成

|-- core
|   |-- boot
|   |-- lib
|   |-- miku
|   |-- mui
|   |-- plugin
|   |-- skin
|   |-- system
|-- deployment
|-- tasks
|-- test

core/boot

mikutterの起動直後に動き出す処理がまとまっています。
コマンドラインオプション解析や(GTKプラグインが無い時の)イベントループ、プラグイン読み込みなどのコードがあります。

core/lib

便利なライブラリ。mikutterのカリカリ高速チューニングはこのディレクトリが担っています。

core/miku

Ruby製のLISP処理系「MIKU」がいます。
ハマると出られなくなるので、何も見なかったことにしてそっとcd ../しましょう。

core/mui

mikutterのGUI(GTK2)のコードが格納されています。GUIを改造したいときは大体ここ。
後述のcore/plugin/gtkにはGTKを呼び出すコードはほとんどないので注意しましょう。

core/skin

GUIで使うアイコンやサウンドが格納されています。

core/system

システムメッセージをTLに表示するためのユーザー(所謂みくったーちゃん)のモデルが定義されています。

core/plugin

標準プラグインが格納されています。後述します。

development

大体のLinuxディストリビューションで使えるパッケージ「AppImage」生成用のファイルが格納されています。

tasks

国際化のための翻訳関連のファイルが置いてあります。

test

ライブラリのテスト用のコードが格納されています。

標準プラグイン

mikutterはプラグイン機構が非常に柔軟で、主要な機能もプラグインとして実装されています。
その数なんと72個!この企画を選んだことを後悔しつつ、簡単に説明していきます。

core/plugin/achievement

mikutterを使っていると突如付与される「実績」を管理するプラグイン
管理するのが仕事なので、実績の発動条件や実績メッセージは実績を授与する各プラグインに分散しています。

core/plugin/activity

アクティビティタブを司るプラグイン
「ふぁぼ」「リツイート」などの標準のアクティビティもここにまとまっています。

core/plugin/alsa

LinuxサウンドシステムALSAサウンドを再生するためのプラグイン

core/plugin/api_request_file_cache

1時間ごとにTwitterからキャッシュした使用頻度の低い画像ファイルを削除するプラグイン

core/plugin/aspectframe

アスペクト比(画面の縦横比)を考慮してボタンなどのGUI部品を配置するためのフレーム部品です!(きっぱり)
はい、次行きましょう!次!

core/plugin/bitly

メッセージ含まれるURL短縮サービスBitlyで短縮したURLを展開するプラグイン

core/plugin/bugreport

たまによくmikutterが落ちた時に、作者にバグレポートを送信するプラグイン

core/plugin/account_change

Twitterやその他のサービス」(World)のユーザーアカウントを管理するGUIと、アカウントを切り替えるGUIやコマンドを提供するプラグイン

core/plugin/command

「本文をコピー」「返信」などのmikutterの標準的なコマンドが定義されています。
また「複数のメッセージが選択されている」などのコマンドが実行できる条件も定義されています。
自作コマンドを作るときにお世話になります。

core/plugin/console

Alt + Xで呼び出せるmikutterコンソールを司るプラグインです。

core/plugin/core

なんだこれ?
起動完了後にイベントフィルタのマルチスレッド動作を許可する感じ?

core/plugin/current_world

「現在選択されているアカウント」っていう概念を表現するプラグイン

core/plugin/directmessage

Twitterやその他のサービス」(World)のダイレクトメッセージを取り扱うプラグイン

core/plugin/extract

mikutterの強力なメッセージフィルタ機能「抽出タブ」を司るプラグイン

core/plugin/file_path

UNIX絶対パスをaddressableライブラリのURIクラスに変換するユーティリティ。

core/plugin/followingcontrol

プロフィール画面にフォロワー・フォロイー関係を表示するプラグイン

core/plugin/gtk

GTK2によるGUIを司るプラグイン
メインウインドウやダイアログと言った、大物のGUI部品のコードがあります。
TLなどの中身は、前述のcore/muiを参照すること。
後はイベントループがあったりします。

core/plugin/gui

通常、GUIを持つアプリはツールキット(mikutterの場合GTK2)と密接な関係があるので、
別のツールキット(Qtとか)を適用しようとするとめっちゃ改造が必要です。

しかし、mikutterはGTK以外のツールキットを使ったGUIプラグインが出てくることを想定して、
画面の操作はこのGUIプラグイン経由で行うことになっています。

core/plugin/guide

mikutterをはじめて起動したときに始まる茶番チュートリアルを司るプラグイン
ここで使われてるTLメッセージにボタンが表示できる機能は有用なので、ぜひとも汎用化したいですね。

core/plugin/home_timeline

ホームタイムラインのGUIを担当するプラグイン

core/plugin/image_file_cache

画像ファイルをキャッシュする仕組みを提供するプラグイン

core/plugin/intent

TLのメッセージのURLを開くときの処理を行うプラグイン
マストドンのURLはブラウザじゃなくてマストドンプラグインのタブで表示したいとか。そんなことが出来る仕組みです。

core/plugin/libnotify

notify-sendコマンド経由でOSの通知ポップアップを表示するプラグイン

core/plugin/mastodon

mikutterがメインターゲットとするSNSMastodon」と通信するためのプラグイン
金具さんが作ってたWorldonっていうプラグインを取り込んだ形になります。

core/plugin/mastodon_sse_streaming

マストドンでストリームからメッセージを取ってくるためのプラグイン

core/plugin/mentions

Twitterやその他のサービス」(World)のメンション(返信)を取り扱うプラグイン

core/plugin/message_detail_view

mikutter 3.4で搭載された「詳細タブ」を司るプラグイン

core/plugin/message_favorite

同じく「詳細タブ」機能のふぁぼられたユーザー一覧部分をつかさどるプラグイン

core/plugin/message_retweet

同じく「詳細タブ」機能のリツイートされたユーザー一覧部分をつかさどるプラグイン

core/plugin/modelviewer

mikutter 3.9から導入された汎用モデルビューワのプラグイン

core/plugin/notification

ウインドウ下部のステータスバーにmikutterのおもしろ最新情報を表示するプラグイン

core/plugin/notify

設定画面の「通知」の設定項目を司るプラグイン
ふぁぼやリツイートなどのイベントで通知を発動するコードもあります。

core/plugin/openimg

画像のURLから実際の画像を得るためのプラグイン

core/plugin/photo

画像のURLから画像モデルを得るためのプラグイン

core/plugin/photo_support

画像を保持するサービスから具体的にどうやって画像を取得するかを定義するプラグイン

core/plugin/profile

「プロフィール」タブの言語ファイルのみが格納されている。
enと言いながら中身がもろ日本語なのウケる。

core/plugin/proxy

設定画面の「プロキシ」の設定項目と、Net:HTTPクラスに対するモンキーパッチ。

core/plugin/quickstep

mikutter 3.9の新機能「Quick Step」。

core/plugin/quoted_message

Twitterの引用付きツイートを表示するプラグイン

core/plugin/ratelimit

Twitterの規制に引っかかったときに通知するプラグイン

core/plugin/rest

TwitterREST APIで定期的にメッセージを取ってくるプラグイン
何らかの理由でユーザーストリームが使えない時(is now)に使われていました。

core/plugin/set_view

GUIの見た目(色、フォントなど)を司るプラグイン
設定画面の「表示」の設定項目もこのプラグインで提供しています。

core/plugin/settings

設定画面のGUIを司るプラグイン
設定画面の「基本設定」の設定項目もこのプラグインで提供しています。

core/plugin/shortcutkey

キーボードショートカットを司るプラグイン
設定画面の「ショートカットキー」の設定項目もこのプラグインで提供しています。

core/plugin/skin

GUIのアイコンや通知音を一括で変更する「スキン」機能を司るプラグイン

core/plugin/skin_setting_gtk

設定画面の「スキン」の設定項目を提供するプラグイン

ちなみにこれは拙作だったりします。
あー、ヤバいなぁ。本体の進化に取り残されてるなぁ。やっぱりとしぁさんに京都湾(?)に沈められるのでは。

core/plugin/smartthread

「会話スレッド」タブを司るプラグイン

core/plugin/sound

サウンドシステム(前述のALSAとか)と連携して音声を再生するプラグイン
設定画面の「サウンド」の設定項目も提供しています。

core/plugin/spell

mikutter 3.6から導入された、1つ以上のModelが連携する処理を定義する仕組み「Spell」を提供します。

core/plugin/streaming

Twitterが爆発的に普及した理由である「ユーザーストリーム」を司るプラグイン
今はもう動きません。

core/plugin/streaming_connection_status

Twitterのユーザーストリームの接続状況をアクティビティタブに表示するプラグイン

core/plugin/tco

Twitter専属のURL短縮サービスt.coのリンクを展開するプラグイン

core/plugin/twitter

昔流行ったTwitterとか言うマイクロブログと通信するプラグイン

core/plugin/twitter_api_keys

なんだこれ?空ファイルがあるのみ。

core/plugin/twitter_search

Twitterハッシュタグをクリックしたときに、検索機能でハッシュタグを検索するプラグイン

core/plugin/uitranslator

mikutterの多言語化サポート用のプラグイン

core/plugin/user_detail_view

「プロフィール」タブを司るプラグイン

core/plugin/web

クリックしたURLを外部ブラウザで開くためのプラグイン

core/plugin/world

mikutter 3.6で導入された「Twitterやその他のサービス」を表現する「World」を司るプラグイン

mikutterに特化したRuby Gemたち

mikutterを読み解くには、mikutterに特化したいくつかのgemも読み解かないといけないかも知れません。
これらは元々はmikutterに内蔵されていた処理ですが、その汎用性の高さからgemとして切り出した方が世のため人のためになると言う判断なんだと思います。
他のgemと違ってWebに使用例が転がっている状況ではないので、mikutterでの使用箇所をExampleだと思って頑張ってください。

diva

様々なメンバを保持する「モデル」を定義するためのライブラリ。

delayer

処理を登録しておいて、暇になったら実行してくれる。

pluggaloid

mikutterのプラグイン機構を実現するライブラリ。

delayer-deferred

delayerにnext()とかtrap()みたいなdeferred由来のメソッドを追加したもの。

最後に

mikutterは国産のプロダクトと言うことでソースコードのコメントも日本語が多く、大変読みやすいものだと思っています。
8/3のとしぁさんのセッションに洗脳感銘を受けた方。Rubyを勉強してみたい方。

どうぞ臆せずコードの海へ飛び込んでもらえればと思います。